寒さは万病のもと?冬の家に潜む病気や事故のリスク|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.11.30 / 更新日 2021.05.24

寒さ・暑さ対策建物・暮らしの知識

寒さは万病のもと?冬の家に潜む病気や事故のリスク

冬の家に潜む危険

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

厚生労働省の調査では、年間を通しての死亡者数の割合は病気・事故ともに秋から冬が最も多くなるという結果が発表されています。この傾向は過去50年間ずっと同じだそうです。冬の「寒さ」は健康面・安全面の様々なリスクを大きくします。今回は冬の家に潜む病気や事故のリスクについてまとめてみました。

風邪をひきやすくなる

風邪をひきやすくなる
これまでは、冬に風邪が多いのはウイルスの感染者と接する時間が多いからであって、気温そのものとは特に関係性がないと言われてきました。しかし近年の研究で、寒さが人間の免疫力そのものを低下させるということが科学的に裏付けられるようになってきました。

「冬は風邪をひきやすい季節だから」と割り切るのではなく、免疫力の低下による深刻な病気にかかってしまうかもしれないという意識を持つことが大切です。

結露により家の中でカビが発生する

室内の結露
冬場は寒い外の空気と室内との温度差により、空気中の水蒸気が水滴となり窓ガラスや押し入れの奥などに付着します。

結露で室内が濡れるとカビの発生の原因になります。カビ自体も人間の健康に影響を及ぼしますが、さらにカビをエサとするダニの繁殖に繋がる場合もあり、喘息などのリスクを大きくしてしまいます。

また、コンセント付近に結露が付着した場合は漏電を起こし、火災の原因となることも考えられます。室温は20℃前後とし、湿度も40~60%以内となるように調整しましょう。

入浴時の事故

脱衣場での不慮の事故
冬場は浴室の事故が多くなりますが、その原因の多くが「ヒートショック」であると言われています。ヒートショックとは、周辺の温度が急に変わることで、身体に負担がかかってしまうことです。
床の冷たいイメージ
温かいリビングから寒い脱衣場に移動し、更に熱いお湯につかってと血管は収縮を繰り返し、血圧が激しく変動して心臓に負担をかけ、不慮の事故に繋がってしまうことがあります。

全国の消防本部の記録によると、2011年の入浴中の心肺機能停止者数は年間9,360人にのぼると記録されています。また、東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、同年のヒートショックが関係している入浴中の死亡事故は約1万6000人を超えると発表しています。また、その中の8割は高齢者となっています。

高齢者は身体への負担を考え、なるべく一番風呂には入らずに他の家族の誰かが入った後にするか、もともとの温度をぬるめに設定する方が安全でしょう。

転倒や転落

コードによる転倒
死亡率が冬に最も高くなるのと同様に、転倒や転落などの事故による死亡も冬に最も多くなります。「冬は雪や凍結などがあるから」と思うかもしれませんが、それだけではなさそうです。

独立行政法人 国民生活センターの調査によると、65歳以上の高齢者の事故発生場所は約8割が住宅であることが示されています。転倒の原因として

  • こたつの布団・カーペット・電気コードなどにつまづく
  • 寒さで足周りや腰に痛みが伴う
  • 寒さによる厚着で体を動かしにくくなる

などが考えられます。普段から適度に体を動かすことや、室温を温め、厚着をし過ぎなくても寒くならないようにする必要があります。

深夜に潜む危険


人が寝ている時の布団の温度は約30℃ほどであると言われています。深夜のトイレの室温は外気に限りなく近くなるので温暖地であっても冬場の室温は10℃を下回ることになります。
もし深夜に目が覚めてトイレに移動したとするとその温度差は20℃を上回ることになります。洗面所から浴室に移動するときよりも大きな数字になっており、ヒートショックのリスクが潜んでいます。

また、電気をつけずに歩いた事により段差や電気コードに引っかかり、転倒してしまというケースもあります。深夜に起きても足元がしっかり見えるように足元灯を使う、などの工夫をしましょう。

まとめ

日本では、「寒い場所で過ごした方が身体が丈夫になる」というイメージが持たれがちですが、家の寒さは私達に様々な健康面や安全面のリスクを与えます。

高齢者はその影響をうけやすいので、健康・安全管理には特に気をつける必要があります。何かが起こってから後悔しないように、しっかりと予防意識をもって冬を過ごしましょう。

さいごに

断熱リフォームの施工前後断熱リフォームは住まいに潜む様々な病気や事故のリスクを小さくすることができます。住宅の断熱性能を上げることで、部屋と部屋の温度差を小さくしてヒートショックのリスクを軽減に繋がります。

断熱性能の向上と健康促進

また、夜間の温度低下を抑えることにより体温の低下を防ぐこともできます。実際に、近畿大学の調査によると、断熱性能の高い家に引っ越すことによりそれまでの住まいで感じていた手足の冷えや喘息などの体調不良の症状が改善される割合が高くなる、というデータも計測されています。

健康な住まいを作るための断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか?