断熱診断のながれ|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.05.30 / 更新日 2023.09.08

断熱リフォーム

断熱診断のながれ

WRITER

WRITER

廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

こんにちは。今回は私、廣澤が《断熱リフォームの匠》の断熱診断の流れをご紹介していきます。

多くの人は「断熱診断ってどんなことをするの?」と思われているのではないかと思います。

わかりやすい解説を心がけますのでどうかお付き合いよろしくお願いいたします。

断熱診断の流れ

①ヒアリング

点検前のヒアリング
まずは暑さ・寒さのお困りごとについてヒアリングをいたします。

ちなみによくいただく声として、

「夏に2階がとても暑くなる」
「エアコンが全然効かない」
「朝起きたら体が冷え切っている」
「足元の冷気がつらい」

 
などがございます。

もしこういった状況にお心当たりがあれば断熱性能の不足が考えられます。

②床下断熱材の調査

点検時の養生

台所の収納庫や洗面所などの床下点検口から床下に進入します。

点検口周りを専用のビニールシートでテントのように囲い、ホコリがお部屋の中に入らないよう保護します。

もし点検口が無い場合、1階に和室があれば畳の下の荒床をカットして簡易的な点検口を作成します。

こちらは無料にて行わせていただいております。

断熱材の種類、厚み、施工状態、壁下の隙間などを診断

床下に進入して既存断熱材の素材や厚みから断熱性能を調べます。

ちなみに調査では断熱材への影響も考えられることから、配管の水漏れなどの確認も同時に行います。

床下では既存断熱材の厚みを計測し、国が設けた省エネ基準に比べてどの程度の性能を保有しているかを診断します。

必要な断熱材の厚みは住んでいる地域や住宅の構造、素材などで異なります。

基準を満たす断熱材

たとえば東京23区(6地域)で高性能グラスウールボードが施工されている住宅の場合、80mm以上の厚みがあれば現行の省エネ基準を満たしています。

厚み計測
ルーラーを用いて断熱材の厚みを計測

一方、こちらの断熱材は厚みを計測してみると、十分な断熱性能を保有していないことが分かります。

フェノールフォームは厚さ40mmあれば現行基準を満たす

断熱材の素材によっては一見薄い断熱材であっても十分な性能を持っている場合もあります。

脱落して適切に施工されていない断熱材

また、断熱診断では性能だけでなく施工状態の確認も行います。

断熱材は欠落したり脱落していると本来の性能を発揮できません。

点検口周りはきれいでも、床下の奥側では断熱材が欠落している・・・というケースもよく見かけます。

また、新築当時は問題なくても材木の収縮で断熱材のサイズが合わなくなり落ちてしまうという場合もあります。

「いい断熱材を使っているのに寒い」という場合は施工状態に問題があるのかも知れません。

壁下の隙間。隙間が空いていると断熱性能は大きく低下する

意外と忘れられがちですが、壁下の隙間の確認も断熱診断の大切な要素です。

壁下に隙間があると「気流」が発生し、建物の断熱に大きな影響を与えます。

気流止め

気流止めがない建物は床下の空気が断熱材の隙間から建物を通り抜けます。

たとえいい断熱材がしっかりと施工されていても、気流止めがないと外の空気がどんどん運び込まれて暑さや寒さを解消できないのです。

③天井断熱材の調査

断熱材の種類、厚み、施工状況に加え、ダウンライトや換気扇などの設備機器、換気の方法・状態なども診断する

小屋裏への進入は押し入れの天袋や天井点検口から行います。ロフトや屋根裏部屋がある場合は、屋根裏部屋の壁に天井裏に通じている点検口を利用します。

周辺に養生をしてゴミやホコリがお部屋に入るのを防ぎます。

小屋裏の断熱材に十分な厚みがないと夏の暑さの原因となる

床下同様、既存断熱材の素材や厚みを計測して現在の断熱性能を診断します。

適切に施工されていない天井断熱

天井断熱についてもやはり断熱材の施工状態によって発揮される性能は大きく異なります。

適切でない状態で施工されていては夏の熱気を防ぐことができず、2階の暑さの原因となります。

小屋裏に進入し、現在の状況を見て回ります。

隙間があると気流が発生し、暑さや寒さの原因となる

小屋裏でも壁上の隙間の存在は断熱材にとって天敵です。

この隙間から天井裏の暑い空気が壁に侵入し、壁から暑さが伝わってしまいます。

気流への対策が施されているかも診断していきます。

④開口部の調査

窓の性能が低い住宅はとても多い

窓は建物全体の寒さ・暑さに大きく関係することから、断熱診断では現在の窓の性能についても調査してまわります。

ちなみに窓について「内窓を自分で取り付けようと思ったけど製品が多すぎてよく分からなかったので結局相談することにした」とお話しいただくことがよくあります。

確かに窓は元々の性能や設置されている方角、形、大きさなどで最適な商品が異なってきます。

また「施工はもちろんだが補助金の申請をしてくれたのも助かった」とお声をいただくこともあることから、事務的な手続きの煩雑さを感じておられる方も多いのかも知れませんね。

⑤結果報告と改修プランのご提案


診断はおおよそ2時間~2時間30分ほどで終了し、調査結果について撮影した写真をお見せしつつご報告します。

その後、ヒアリングでお伺いしたお悩みや断熱診断の結果などを踏まえ、おすすめの断熱改修プランもご提案させていただきます。

また、断熱改修には国や地方自治体の補助金を活用できるケースが数多くあることから、どのプランではどれくらいの補助額が見込めるのかについてもご説明します。

まとめ


今回は《断熱リフォームの匠》が行う断熱診断の流れをご紹介してきました。

日本の住宅の断熱性能は先進国の中で最低レベルと言われています。

しかし逆に言えば、現状の寒さや暑さは断熱リフォームを通して改善できる余地が十分あるということでもあると思います。

「住み心地のいい家にしたい!」と思っておられるようでしたらぜひ一度、現在の断熱性能を見直してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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