「断熱」がお家にとって重要な理由とは?|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.07.31 / 更新日 2023.11.13

建物・暮らしの知識断熱リフォーム

「断熱」がお家にとって重要な理由とは?

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。

今回はお家の断熱の重要性について、簡単にお話ししてみようと思います。

なぜ断熱がお家にとって重要なのか、一緒に勉強していきましょう。

そもそも断熱って何?

断熱とは「熱が伝導・対流・輻射などで伝わるのを防ぐこと」という説明がよくされます。

簡単にいえば熱を伝えないようにすることで、身近なところではクーラーボックスや真空タンブラーも断熱を利用しています。

お家における断熱とは暑さや寒さを室内に伝わりにくくすることをいいます。


ちなみに断熱と似たような言葉に「遮熱」があります。しかし実際は断熱と遮熱は全く異なります。

断熱が熱を伝えないようにすることであるのに対し、遮熱は熱(日射)を”反射”することをさします。たとえば日傘などが遮熱を利用したアイテムとなります。

なぜお家に断熱が必要なの?

普段の生活で何気なく感じているストレスや悩みは、実は家の断熱ができていないことが原因かも知れません。

いくつかの例を挙げてみます。

冬になると肌寒さを感じる


日本は寒さに弱い家が多いと言われています。

実際、お客様からは「冬になると手先や足元が冷え切ってしまう」「エアコンをつけても肌寒さがなくならない」というご相談や「新築の戸建てに引っ越したらとても寒かった」なんて話も聞くことも。

これらの原因は家の断熱性能にあります。

断熱が不十分な家は寒さの影響を受けやすく、エアコンを使っても中々あたたかくなりません。

家の断熱は冬の過ごしやすさに大きく関係しているのです。

夏になると2階が蒸し暑い

暑い家の例

家の断熱が不十分だと寒さだけでなく暑さも感じやすくなります。

夏の小屋裏は50℃〜60℃にまでなると言われており、特に2階の天井側はその暑さの影響を受けやすく、「冷房をつけても頭のあたりがずっと暑い」というような状況が生まれます。

しかもこの時暖められた小屋裏の空気は日が沈んでもなかなか冷めず、ひと晩中蒸し暑さを感じる原因となります。

一般的に熱中症は昼間に外で起きやすいと思われがちですが、実は熱中症のリスクが高いのは夜間の寝ている間、という風にも言われているくらいです。

家の断熱は夏場の過ごしやすさと切ってもきれない関係にあるのです。

家中結露だらけ!?

窓の結露
冬になると窓にビッシリついた結露、当たり前と思っていませんか?結露が起こる大きな原因は、窓の断熱が不十分だからです。

サッシがアルミなどの熱の伝わりやすい素材だと外の冷気が伝わりやすく、室温との温度差でサッシ周りがビッシリ結露してしまうのです。

ガラスも単板ガラスだと断熱性能が低く、同様に結露が発生しやすいです。

もし結露が発生すると、カビの発生や腐れ、ダニの発生などの問題が生じ、呼吸器疾患の原因にもなりますので注意が必要です。


また、結露の中でももっと怖いのが内部結露です。

内部結露は壁の中に湿った空気が侵入することで発生する結露で、柱や土台の腐朽を引き起こす原因となります。

しかし壁の中は見えませんので発見が難しく、建物の強度に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

家の断熱が整える人間の快適な”体感温度”


家を涼しくしたり暖かくするというと真っ先に思い浮かぶのはエアコンによる室温調整だと思います。

断熱はエアコンの効きやすさに大きく関係しています。

ポイントとなるのは”体感温度”です。

私たちは暑さや寒さを実際の室温ではなく、あくまでも体感温度で感じています。

たとえ室温が高くても体感温度が低ければ寒いと感じますし、反対に室温がそれほど高くなくても体感温度が高ければ快適に感じることができます。

エアコンは室温を簡単に上げることはできます。しかし室温と体感温度には隔たりがあります。

家の断熱がしっかりしていれば床や天井の表面温度を安定させて体感温度が上がるので、肌寒さや足元の冷えを改善することができます。

家の断熱はどうやって調べる?

今のお家がどれくらいの断熱性能を持っているかを確認するコツをお伝えしていきます。

仕様書をチェック


お家にどんな断熱材が使われているかを手っ取り早く調べる方法は、その住宅の図面を調べることです。

たとえば矩計図には建物を断面から見た様子が細かく記載されていますが、その中に断熱材についての仕様も記載されています。

仕上げ表を見てもそれぞれの部位にどんな断熱材が使われているかが分かります。

断熱材が使われているのは天井、壁内、床下などです。特に壁内の断熱材はこの方法でのみ調べることができます。

それぞれ確認してみましょう。

床下や小屋裏を直接調べて確認


床下や小屋裏に進入して断熱材を自分の目で確かめる、というやり方もあります。

この方法には現在のありのままを確かめられるメリットがあります。


たとえば書類では性能のいい断熱材が使われていたとしても、調査をしてみると施工不良で本来の性能を十分に発揮できていない・・・ということがあります。

また、築年数が経過していて新築の時の図面がいつの間にかなくなってしまっていたり、中古住宅として購入したことから最初から図面が手元にないこともあるかも知れません。

直接進入を行えばそういった状況でも正確に今の家の断熱を調べることができます。

ただし、調査には高所からの落下や配管の破損といった様々な事故のリスクも付きまといますので安全面にはくれぐれも注意が必要です。

窓の性能


窓は非常に多くの熱が出入りする場所で、家全体の断熱にもとても大きな影響を与えます。太陽光を通すことや壁に比べとても薄いことから、寒さや暑さの原因となりやすいのです。

窓の断熱はサッシと窓、それぞれの性能に注目することで確認できます。

たとえばもしサッシの素材がアルミニウムだったり、ガラスが単板であった場合は断熱性能はかなり低く、寒さの原因となっている可能性が高いです。

正確な仕様を知りたい時はこちらもやはり建物の図面を確かめてみるといいと思います。

さいごに


今回は断熱が快適に暮らせるお家づくりに役立つことを簡単にまとめてみました。

家を買うときやリフォームするときなど、私たちはどうしてもデザインや間取り、使い勝手に目が行ってしまいがちです。しかし、長く住むことを考えるとやはり見に見えない断熱のこともしっかり考えておきたいところですね。

近年は国の意向もあり、家の断熱をお得に改修するための様々な補助金制度が充実しています。

断熱がしっかりした建物はやはり居心地の良さがまったく異なります。ぜひ一度、お家の断熱について考える機会を設けてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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