暖房器具の効果をグンと上げる建物の”断熱”とは?|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.11.16 / 更新日 2023.09.21

寒さ・暑さ対策断熱リフォーム

暖房器具の効果をグンと上げる建物の”断熱”とは?

暖房器具

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。

寒い季節になるとエアコン、ヒーター、ストーブ、こたつ、といった様々な暖房器具が使われます。

近年これらの暖房器具をより快適に、より効果的に使うための方法として断熱リフォームが注目されつつあります。

今回はそんな断熱リフォームについて、詳しくお話ししていきます。

部屋を暖めても身体の芯から温まらない理由

なぜ断熱リフォームで暖房器具が快適に使えるようになるのか、それは私たちの体の輻射(放射)という仕組みが大きく関係しています。

近年テレビなどで話題になる放射線ですが、私たち自身を含め身の回りの全ての物質は放射線を発しています。その中でも特に温かさや冷たさに関係している放射を「長波長放射」といいます。

たとえば遠赤外線という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

長波長放射の量は表面温度が高ければ高いほど多くなります。


実は私たちが寒さや暑さの不快感を感じるのは床や天井からの放射と私たち自身からの放射とのバランスが崩れた時です。

壁や天井の放射が私たちの体からの放射を大きく上回ると暑さを感じ、反対に壁や天井の放射が私たちの体からの放射よりもかなり少ないと寒さを感じる、というわけですね。


このバランスの崩れを起こりにくくするのが断熱の役割です。

室温は高くても体感温度は低いまま!?

壁や床の表面温度を上げることが大切なのは、私たちが暑さや寒さを体感温度で感じているからです。

室温を上げても体感温度が低ければ暖かさを感じることはできません。逆に言えば、体感温度さえ満足できれば室温を上げなくても快適に過ごすことができます。

実は壁や床の表面温度によって私たちの体感温度も大きく変わります。

こちらの図を見ていただきましょう。

MRTは壁や床などの平均温度をさし、体感温度は(室温+MRT)÷2となっている

室温が高くて壁や床の表面温度が低い家よりも、室温が低くても壁や床の表面温度が高い家の方が体感温度が高く快適であることが分かります。

エアコンを使えば室温を上げることはできても壁や床の表面温度は簡単には上がりません。しかし壁や床の表面温度を上げないことには私たちの体感温度もなかなか上がらないのです。

そこで壁や床の表面温度を上げるために効果的なのが断熱材、というわけですね。

断熱材が施工されている床や天井は表面温度が一定に保たれやすくなりますので、何となく感じてしまう肌寒さや足元の冷えを改善することができます。

室温のチグハグと足元の冷えを解消

「暖房器具を使っても足元が寒い・・・」

もしこのような事でお困りだとすれば、外部から入ってくる冷気が原因だと思われます。


室内の外壁側、とりわけ窓際の空気は冷たくなりやすく、さらに窓際で冷やされた空気はやがて下の方に沈んで部屋の内側までもぐり込んできます。

すると同じ部屋の中でも上の方と下の方とで温度差が生まれ、冷たさはもちろん、温度差があることそれ自体にもストレスを感じてしまいます。

窓の断熱は内窓の設置や断熱ブラインドなどで行えます。


熱が伝わりにくいガラスやサッシの窓を取り付け、さらに外側の窓と内側の窓やブラインドの間とで空気の層を作って開口部全体の断熱性能を上げる、という仕組みです。

断熱性能が上がれば冷気が伝わりにくくなり、暖房器具の効果をより感じやすくなります。

暖房器具を使っていない部屋まで暖かくなる!?


《断熱リフォームの匠》では天井断熱を施工したお客様から「2階の冷気を感じなくなった」「夏の暑さ対策で天井断熱をしたけど、冬も暖かくなった」というお声を数多くいただいています。

これは断熱リフォームで暖房器具をより効果的に使えるようになった典型的な例だと言えるでしょう。

暖房器具で暖められた空気は上昇気流となって建物の上に登っていきますが、天井の断熱性能が低いとその空気が天井板から屋根裏へとどんどん逃げてしまいます。

断熱性能を高くすれば、今までなら外部へと逃げていた熱を室内に抑え込み結果的に建物全体を暖かくすることにも繋がります。

暖かい部屋から冷え切った部屋へ移動した際に感じる不快感の対策にもなるのではないかと思います。

断熱材は半永久的に使用できる

断熱材には電化製品のような寿命が存在しない

暖房器具の寿命はおおよそ10~15年ほど、年数が経てばやがて老朽化して使えなくなってしまいます。

一方、断熱材は半永久的に使い続けることができ、たとえば高性能グラスウールは20年以上経っても断熱性能が変わらないというデータも発表されています。

一度設置してしまえばその後はずっと快適な部屋作りの恩恵を受け続けることができるということですね。

そういう意味では早く取り付けたもの勝ちだと言えると思います。

まとめ

今回は暖房器具と建物の断熱の関係についてご紹介してきました。

断熱性能を向上はより効果的な暖房器具の活用につながり、様々なメリットを得ることができます。

断熱と一概に言っても様々なアプローチが考えられますので、ぜひ自分のお家に合った断熱を考えてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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